尿蛋白など腎臓の異常
腎臓の働き
腎臓の最も重要な役割は、からだの中の水分の量と濃度を調節して、からだの細胞を働きやすくすることです。また、腎臓は尿の生成を通じて、体の中にたまった老廃物や余分な水分を外へ出して、血液をきれいにする機能があります。腎臓の働きが低下してくると、血液中に不要なものが溜まったり、逆に必要なものが尿に混ざって出ていってしまいます。その他に、腎臓は色々な機能を調節するホルモンも分泌しています。赤血球の生産をうながす「エリスロポエチン」やレニン、プロスタグランディン、カリクレイン、キニンなどの血圧を調整するような、ホルモンをつくって分泌しています。
腎臓の機能はいちど失われてしまうと、回復することが難しい場合が多く慢性腎不全といわれる病態になります。
尿蛋白
蛋白はからだにとって大切な構成成分なので、健康であればほとんど尿に混ざりません。しかし腎臓に病気が起きると、ろ過機能をもつ糸球体 をタンパクが通過して尿に出るようになります。タンパク成分が通過してしまう状態は、糸球体そのものにとっても負担になります。そのため、病気によって尿にタンパクが出ること自体が、病気の進行を早めます。
タンパク尿は腎臓の病気で引き起こされるものですが、同時に病気を進める原因にもなります。自覚症状がほとんどないですが、それらをきちんと管理することは、病気の進行を抑えるうえで、とても重要です。
尿蛋白の原因となるおもな腎臓の病気
・糖尿病性腎症
糖尿病の治療が不十分な状態が続いていると、血管が傷みやすくなります。それによって血液をろ過する腎臓の働きが低下します。患者数の増加が著しく、透析療法が必要になる原因の第一位にあげられています。
・慢性糸球体腎炎
血液をろ過し尿を作る機能を担っている糸球体に炎症が起き、その働きが徐々に低下する慢性の病気です。
・腎硬化症
おもに高血圧による動脈硬化の影響が腎臓に現れるもので、高齢者に多い病気です。
・ネフローゼ症候群
多量のタンパクが尿中に排泄されてしまう状態です。
その他の腎臓の病気
腎臓の病気には主に下記のようなものがあります。
- 急性腎不全
- 慢性腎不全
- 腎盂腎炎
- 急性糸球体腎炎
- 腎臓癌
- 腎結石
- 尿管結石
- IgA腎症
腎臓が悪くなった時の症状
- むくみが出る
- 尿量が少なくなった
- 夜間にトイレに行く回数が増えた
- 尿の回数が増えた
- だるさが抜けない
- 貧血による動悸や息切れ、めまいや立ちくらみがでる
- 発疹がないのに体にかゆみがある
- 尿蛋白などが出現する
腎臓の病気になると、上記のような症状が現れることがあります。放置しておくと、生命に危険を及ぼす恐れもあります。
比較的初期に病気が発見することができれば、進行を食い止める治療ができる場合が多いのです。病状が進行すると、人工透析や移植などの必要が出てきますので、上記にあるような症状が出現したり、尿検査でなにか指摘された場合は、当院まで気軽にご相談ください。