花粉症の注射治療
ノイロトロピン注射とは
ノイロトロピンは、ワクシニアウイルスを接種したウサギの炎症皮膚組織から抽出したエキスをもとに作られたものです。
主な作用機序
・ノルアドレナリン作動神経、セロトニン作動神経の活性化
・末梢循環改善作用
・鼻粘膜ムスカリン作動性アセチルコリン受容体増殖の抑制
・好酸球浸潤抑制作用
花粉症への効果
機序としては、ノイロトロピンは鼻粘膜にあるアセチルコリン受容体が増えるのを抑える事で症状を緩和します。花粉症は花粉を敵と認識して好酸球などが働き、結果としてヒスタミンやロイコトリエンという物質が大量に分泌されます。これらが鼻粘膜に働くことで、ムスカリン作動性アセチルコリンが働き、鼻水や鼻詰まりが出現します。ノイロトロピンはこの受容体の数を抑えることで、結果として花粉症の症状を抑制することができます。
また、好酸球にも働いて作用を抑えることで鼻に局所的に効くだけではなく、体全体でおこっているアレルギー反応を抑制するため、ノイロトロピン注射は花粉症による目の周りなど全身の皮膚のかゆみにも効果的です。
注射の回数など
通常、成人1日1回ノイロトロピン注射を投与します。回数は症状に応じてですが、だいたい1週間に1~2回程度です。
副作用など
一番多いと予想されるのは、注射部位の疼痛・硬結・発赤・腫脹・熱感が出現することです。しかしこれは、インフルエンザの予防接種なども含めて、皮下注射だとどれも起こり得ることです。
また、その他には作用に差があるという事があります。抗ヒスタミン剤の内服薬などと比べて、効く人と効かない人という様に個体差がある、また同じ患者さんでも効く時と効かない時があるという様に効果の発現に差がある印象があります。そのため花粉症に対する治療としては、補助療法として考えて頂けたらと思います。